平成22年11月5日
世田谷区教育委員会事務局
岬の会代表者 様
平成22年9月15日付 岬の会 質問書について(回答)
標記の件について、下記により回答いたします。
記
教員の業績評価制度につきましては、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」第46条の規定により、東京都教育委員会が計画した業績評価制度のもと、世田谷区教育委員会が勤務成績の評定を行っております。
ご指摘のとおり、「東京都区市町村立学校教職員の人事考課に関する規則」により、世田谷区教育委員会は公正な評価を実施する最終評価者としての責任を担っており、その立場から、お預かりした質問の内容を真摯に検討してまいりました。
しかし、お預かりした質問書には、現在、世田谷区及び東京都を控訴人として東京高等裁判所で係争中の裁判の内容に関係しているため、回答致しかねる質問が多く含まれております。
また業績評価制度の計画を策定した東京都教育委員会が「非開示」と位置付けている機密内容に言及する質問も多く含まれており、これらについて世田谷区教育委員会はコメントする立場にありません。
こうした制約があることをあらかじめご了承いただいた上で、可能な限りご質問にお答えいたします。
まず、公正評価義務について「業績評価制度を運用するにあたって、世田谷区立学校教職員の最終評価者である貴委員会には、公平公正な評価を行う義務があることを認めるか。また、第一次評価者である校長に対して、公平公正な評価を行うよう指導監督する責任を認めるか」という趣旨のご質問をいただきました。
これについてお答えいたします。
「東京都区市町村立学校教職員の人事考課に関する規則」第12条の1で、「業績評価の評価者は、自己申告書を参考にして、職員の業績を公正に評価し、教育職員業績評価書に記録するものとする」とされています。これに明らかのように、最終評価者である世田谷区教育委員会は、公正な評価を行う義務をおっております。また同規則第12条の3において、「調整者は第一次評価者の評価結果について、第一次評価者に対して必要な指導助言を行ったうえで」とされています。これにより、世田谷区の場合、調整者である教育政策部長が第一次評価者(校長)に指導助言を行う責任を担っております。
また苦情相談について「苦情相談の申し出は、教職員が所属する職員団体を通じて行うことはできるか。申し出の際に、職員団体が立ち会うことはできるか。苦情相談においても、被評価者が申出しやすい制度とするために、第三者の立ち会いと認める運用を行う考えはあるか」との趣旨のご質問をいただいております。
これについてお答えいたします。
教職員の業績評価にかかる苦情相談の手続きにあたっては、職員のプライバシーや職務上の秘密を保持し、苦情相談制度を適正に運用するため、職員団体その他の第三者の参画は制度上位置づけられておりません。従いまして、苦情申出書の提出は苦情申出者本人が直接持参あるいは送付する必要があり、代理人や立ち会いを想定していませんし、苦情相談員の面接にあたっては、職員団体を含めた第三者の立ち会いは認められておりません。
私どもからの回答は以上でございますが、今回お預かりしましたご質問の趣旨及びご意見は、今後の参考として真摯に承り、また東京都教育委員会にもお伝えいたします。
世田谷区教育委員会としては、引き続き、東京都の人事考課に関する規則及び業績評価実施要領に基づき、業績評価制度を有効に活用した教員の人材育成に努め、世田谷区の教育の向上に努めてまいりますので、貴会におかれましても、今後とも世田谷区の教育事業へのご協力をよろしくお願いいたします。

「岬の会」の仲間たちと、会の旗。この旗は、大嶽さんのお母さんが作ってくださいました。
Author:岬の会
世田谷区立小学校の教員である大嶽昇一さんは、2004年度の業績評価におけるC評価を不当であるとして、世田谷区に苦情を申し出、東京都人事委員会に取り消しを求める措置要求を行いました。しかし、いずれもまともな対応がなされないまま、却下や棄却とされました。
大嶽さんはやむなく2008年3月に東京地方裁判所に提訴。9回の公判を経て、2010年5月13日に勝利判決をかちとりました。裁判所はこの判決で、①不当評価と昇給延伸を容認した東京都人事委員会の判定の取り消しと、②違法不当な評価によって受けた損害の賠償(昇給延伸にともなう給料の是正と慰謝料)の両方を命じたのです。
これを不服とする東京都と世田谷区は東京高裁に控訴しましたが、2011年10月26日、控訴審も勝訴しました。東京都は上告を断念し、この高裁判決が確定し、最終的に大嶽さんの業績評価裁判は勝利しました。
この裁判を通して大嶽さんが明らかにしてきたことは、この業績評価を根幹とする人事考課制度は、教育行政による教職員への思想統制そのものであり、それは、教職員を分断して協働と団結を破壊し、学校現場の多忙化と教職員の精神性疾患や早期退職を激増させる元凶になっているということです。したがってこの裁判では、単に大嶽さん個人の評価の不当性を争うことにとどまらず、業績評価制度そのものの違憲違法性を訴え、この制度は撤廃するしかないことを主張してきました。
この裁判の勝利が突破口になって、業績評価―人事考課制度の撤廃に向けた現場の取り組み広がることを願って、このブログを通して多くのみなさんと交流できればと思います。
岬の会(業績評価裁判を支援する会)事務局
現場の情報を寄せてください
